2015年3月15日

[札幌UX#005] コンサドーレのホーム開幕戦をカスタマージャーニー的に振り返る

2015年3月15日、コンサドーレ札幌のホーム開幕戦。

前節のアウェイ栃木での開幕勝利もあり、期待が高まっていました。
札幌ドームのビジョンも大型化の工事も完了しました。

が、残念な結果に。

なので、試合についてはこれ以上何も言いません。


ホーム開幕戦を「UX」的、「カスタマージャーニー」的に振り返ります。
「UX」については、こちらの投稿を、
「カスタマージャーニー」については、前回の投稿を見ていただけると助かります。


では、スタート!

【自宅から移動】
・ユニフォームを着て、赤黒っぽいものをできるだけ身につけて、気分を盛り上げます(以下、プラスと表現)。
・SNSですでにスタジアムへ到着している方々の投稿を見てさらに、プラス。
・交通機関の中で赤黒の仲間を見かけてまた、プラス。
・アウェイユニを見かけた時は、「ようこそ!」の気分で。

<ここまでプラス:3回、マイナス0回>

【福住駅】
・札幌市営地下鉄の「駅の個性化プロジェクト」により施されている、
 コンサドーレ&ファイターズ装飾を見て、プラス。
・ドームへ向かう人達を見て、プラス。
・札幌ドームが見えてきて、プラス。

<ここまでプラス:6回、マイナス0回>

【入場前in札幌ドーム】

・歩道橋を上り、待機列へ。
 今年から先行入場の入り口が変わったとかで、昨年とはちょっと違う?
 その割に誘導が徹底しておらず、無駄に階段を昇り降りで、ちょっとがっかり(以下、マイナスと表現)。
・それでも、いつも以上に人が並んでいるようで、プラス。
・先行入場の割に結局並んでるよなぁと思いつつ、マイナス。
・さて、入場開始!お!スムーズ!ていうかみんな速歩き(笑)プラス。
・各ゲートには「WELCOME TO SAPPORO DOME!」の文字。
 シーズンチケットと一般入場とで文字は同じ。ちょっと優遇して変えてもいいのにと思う。

<ここまでプラス:8回、マイナス2回>

【入場】
・持ち物、チケットチェックはスムーズ。
・マッチデイプログラムや配布物を流れ作業で受け取る。
・入り口左に引き換えなければならない「ミニフラッグ」が見えるが人の流れで行けず。
・そしてやっぱりいた、野々村社長!とりあえず「今年もお願いします!」と握手で、プラス。
・ぴっけろやEZOCAのキャラクターを横目にとりあえず、座席確保へ。

<ここまでプラス:9回、マイナス2回>

【スタンドへ】
・今年も始まるなぁ、と。もちろんプラス。
・ひと通り、身支度を整える。
・にしても、着てたダウンを脱いだり、バッグを置いたり、サポーター演出用のものとかでごちゃごちゃ、マイナス。
・おお!新しいビジョンでかい!2枚!プラス。
・で、最後の準備のビールを購入へ。

<ここまでプラス:11回、マイナス3回>

【試合前】
・今日は、ビールの前に、シーズンチケット購入特典の「ミニフラッグ」と
 昨年のクラブコンサドーレ(通称クラコン)のポイント交換賞品の「ピンバッジ」を受け取ります。
・まず、ミニフラッグ。引換券を渡すと、すんなりもらえました。
 本来は会員証に同梱される予定だったのが間に合わなかったんですよね。
 結構作りこんであるなぁ。使うのかなぁ。
・で、ピンバッジへ。ピンバッジは弊社でデザインしているので、考え深いものがあります。
 結構並んでる!
 若干、箱の扱いが雑。
 捌くのが大変かもしれないけど、サポーターにとっては昨年1年の証なんだから丁寧に扱って、渡して欲しい。
 残念ながら、プラスではなく、若干マイナス。

・ということでビールを買って戻る。フラッグにピンバッジとまたもや荷物だらけ。
・購入するのは、プリンスホテルの「あみあみフライドポテト」と「クラシックビール」がお決まりです。
 ポイントは、ポテトのコスパの高さと、合計で1,000円ピッタリになるところです。プラス。

・席へ戻ります。やっぱり階段の昇り降りはキツイっす。マイナス。
・友人と開幕の乾杯をし、しばし、まったり。プラス。
・そして、選手が練習に現れます。プラス。
・練習を見ているだけで、もうプラス。
・そうこうしてると、サポーターグループのコールリーダーを中心に今年の応援について、
 なんか述べ始めます。それほどはっきりは聞こえないのでなんとなく聞いている程度。
 ただ、若い彼も年々しっかりしてきたなぁ(偉そう)。しょうがねぇ聞いてやっか(偉そう)。
 ということでなんだかんだで、プラス。
・決起集会と称して、コンコースで応援の練習(?)が行われます。
 それはそれは大盛り上がりです。プラス。

・で、座席へ戻ります。階段昇降きつい。マイナス。
・スタメン発表!文句なしにカッコイイ!!プラス。

・ひと通り、盛り上がり。プラス、プラス、プラス。
・照明が暗くなり、いよいよ入場です。プラス、プラス、プラス。
・私はゴール裏にあるので、このコレオグラフィを形づくるピースになってました。
 自分では見ることは出来ないのですが、コンサドーレの演出の一員になっている気分なので、プラス。

・そして、キックオフ!!プラス。

<ここまでプラス:26回、マイナス6回>

【前半開始】
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・

【ハーフタイム】
・開幕戦の栃木に遠征に行った友人からおみやげの「レモン牛乳ポップコーン」をほおばります。とりあえずプラス。

・ハーフタイムでは、サブメンバーの練習が見られます。プラス。
 前俊ーーー!


<ここまでプラス:28回、マイナス6回>

【後半開始】
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・

【試合終了】
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・

・ブーイング、罵声。マイナス。


<ここまでプラス:28回、マイナス7回>

【ドーム退場】
・身支度をし、ドームを出ます。
・なんで、ゴミ置いてくんだよ。マイナス。
・ゴミ箱、なんで全部あけてないんだろう。遠いよ。マイナス。
・出口で「ありがとうございました!」というボランティアのみなさん。けなげ。プラス。
・列が進まず。マイナス。
・なかなかドームから出られす、マイナス。
・周りから聞こえてくるネガティブな言葉、マイナス。
 今日は18,000人も入ったのに、来週は半分くらいの観客になっちゃうのかなぁ。マイナス。


<ここまでプラス:29回、マイナス13回>

【福住駅】
・地下鉄ももちろん混んでます、マイナス。
・車内も暗いムードに満たされます。マイナス。
 いつだったか、入ってきた高校生が乗ってくるなり「今日負けたな、わかるもん」と言ってたけど、わかるよね。

<ここまでプラス:29回、マイナス15回>

【下車】
・シースペースに行って、しばし現実逃避。
・せめてもの残念会で、反省。プラス?


<ここまでプラス:29回、マイナス15回>

【帰宅】
・身体が重い、気持ちが重い。マイナス。

<ここまでプラス:29回、マイナス16回>

おしまい


といった感じで、1日が過ぎて行きました。

プラス、マイナスを書いてきましたが、ここまでの回数を合計します。

プラス:29回
マイナス:16回

お!プラスが多い!ですが、試合中は除いています。

そこで、試合中の結果を当て込みます。
試合中は単純な回数ではなく、数字にはならない重みが乗算されます。

その結果がこちら。

プラス:29回
マイナス:100回くらい(笑)

え?!マイナスが上回ってしまいます。

そう、いくら試合前に気分が盛り上がっても、
とんでもない試合を見ると、そんなのチャラになっちゃうんです。

で、何が言いたいかというと、クラブは試合の結果に左右されないサービスを提供すべきということ。
具体的には、試合後のプラスポイントを増やす工夫をすべき!だと思います。


試合前は、黙っていても盛り上がるんですよ。
でも、ライトなファン層は私ほどプラスポイントがないかもしれません。
そういう意味では、試合前の工夫も良いと思います。

ただし、今日のような残念な試合を見て、「次も行こう!」と思ってくれるのでしょうか。
おそらく、特別なことがない限り、大きくマイナスが上回っているはずです。

もちろん、チームが強くなることも大事ですが、クラブとして成長していくためには
いかに、来てくれたお客さんをリピーターにしていくかだと思います。

今日のように、稲本選手が加入し、地上波のテレビ中継もあるような
注目度の高い試合で、そのような取り組みをしていかなければいけないと思います。

コンサドーレが、今日ライト層に向けて、何か策を採っていたことを願います。


最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます。

以上、今日の試合の悔しさをぶつけてしまいました。
くそーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
来週見返してくれ!

札幌でカスタマージャーニーマップのワークショップを行いました(6/23追記)

まず、今回お伝えしたいのは
札幌で札幌のクライアントに対して提案して、
カスタマージャーニーマップのワークショップを実施した!
ということです。

実施してみてわかったこと

・簡単!
・だれでも出来る!
・社員の意識改善ができる
・気付きのアプトプットの機会創出になる

ワークショップだということです。

その理由は、以下読んでいただければわかると思います。



このクライアント様は札幌市内の宿泊施設で、
このワークーショップの前からマーケティング研修を実施させていただいています。

一連のマーケティング研修の大きな目的は

マーケティング思考を社員様に持ってもらう

そして

顧客満足度の向上
客単価アップ

です。


この前に行った研修では、上司の小田一弥によるマーケティング基礎でした。

聞くだけでは、日頃の業務になかなか活かすことが難しいだろうということで
実践できるような研修を、ということでカスタマージャーニーマップを提案しました。

このクライアント様の面白いところは、研修の参加者。
フロント、ホール、風呂担当、エステ・アカスリ担当と
日頃の業務も経験もばらばらな方々に参加していただきました。

聞くだけならまだしも、ワークショップではどうなるんだろう?
という不安はあったのですが、実施する前から「大丈夫」という自信がありました。
なぜかというのは後ほど。


で、ワークショップの流れは、以下の通り。2時間です。

1.基礎研修の知識を活かすには?
2.カスタマージャーニーマップやるよ
3.カスタマージャーニーマップとは?
4.まずはやってみましょう!練習「コンビニカフェの購入」
5.タスクと想定利用者(ユーザー)
6.グループ分け
7.行動のシミュレーション
8.課題の分析
9.解決策の検討
10.発表


練習タスクをどのようにやったかというと、
スマホで撮った動画を流すだけ!

これは以前参加したセミナーで見たのを真似させてもらいました。

ほんとうこれだけで十分。
みなさん、行動を細かく洗い出してくれるし
課題もしっかり見つけてくれます。
これで自信が確信に変わりました!(笑)

本番です。

今回の想定ユーザー像は

・会社の同僚から招待券をもらった初めてきた方
・1年ぶり2度目の利用の旭川からの出張で来た方

を設定。ユーザー像を決めるのも重要です。
じゃないと、お客さんの視点でといっても、どんなお客さんの気持ちを思えばいいのかわからないですから。

タスクは

スパとサウナの利用

宿泊施設ではありますが、日帰りというかスパだけの利用ができる施設なんです。


分析のゴールは

客単価のアップ
次も来たい!もう一度来店してもらう

です。


このように、ユーザー像、タスク、ゴールを意識しながらシミュレーションしてもらいました。

で、このとき大事なのが、
ちゃんと入り口からシミュレーションしてみること。
みなさまの職場ではありますが、お客様の視点で見てみると普段気づかないことが見えてきます。

本当にみなさん、しっかりシミュレーションしながら考えていただき、
全然時間が足りなくなってしまいました(汗)

で、分析!
ワークショップといえば、ポストイット!
がんがん書いてもらいました。




出るわ出るわ。

どうやら、みなさん、日頃からちょっと感じていることがあったみたいで
しかし、なかなかそれを言う機会がなかったみたいなんです。
そこにこういうワークショップがあり、ユーザー像が重なることで表に出てきたようです。
そして、不安だった業務や経験の違いは、まったく関係なし!です。
やっぱりこのカスタマージャーニーマップの特徴は、
だれでもできるということだと思います。


最後は時間切れで、課題の分析が終わりきらなかったため
行動、周辺状況、感情までで発表してもらいました。



これで終了ではなく、なんと残りは宿題にして、もう一度時間をとりましょう!となりました。

担当者の方からも、「やってよかったです!」と言っていただき、
本当にこちらも大満足です。

今回の反省点は、
タスクのシミュレーション時間が短かったこと

次に実施することがあれば、もう少し長く設定したいと思います。


さて、このワークショップですが、冒頭にも書きましたが、
札幌で札幌のクライアントに対して、札幌の会社が行ったことが重要です。

ちょっと新しい手法だと、北海道内でも札幌でもなかなかできることが少ない。
知っている人も少ないという状況になってしまいます。

そこを、地理的な問題とせず、札幌でも行うこと、ここに価値を見出しやらせていただきました。

私も北海道では数少ない人間中心設計専門家として、
しっかり最先端の手法や技術をチェックし、北海道、札幌で展開できるようにしたいと思っています。

で、今回のワークショップですが、これまでに参加したセミナーをかなり参考にさせていただいています。
HCD-Netの浅野智先生やUX-Sapporo×CSS Nite in Sapporoのネットイヤーグループ坂本貴史さん
セミナーで得たことを活かさせてもらいました。ありがとうございました。

カスタマージャーニーマップは本当に

・簡単!
・だれでも出来る!

に加えて、

・社員の意識改善
・気付きのアプトプットの機会創出

にも役立つワークショップですので、興味ある方はお気軽にご相談いただければと思います。

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(6/23追記)
論文発表してきました!HCD-Netフォーラム2015 (@2日目研究発表会)
http://designhokkaido.blogspot.jp/2015/06/hcd-net2015-2.html

2015年3月11日

[札幌UX#004] スポーツUXの可能性

「スポーツUX」

そんなワードをgoogleで検索してみても、
新潟のテレビ局が出てくるくらいです。
(スポーツCXの場合、フジテレビもしくはマツダが出てくる)



ここでいうUXはもちろんユーザーエクスペリエンス User Experienceのこと。

では、「sports UX」で検索すると、
出てきます、それらしいのが。


・UI/UX Designer for Sports Loving Tech Startup
・Ui Ux Designer With Strong Passion Sport Jobs
・Sports goods site shows smart approach to UX
などなど、UIやUXという言葉が世界では当たり前のように扱われている。


「スポーツマーケティング」という通常のマーケティングとは分けた言葉が使われ始めたのも
googleトレンドを見る限り、2006年あたりからの模様。
しかもダウントレンド。



「マーケティング」自体もダウントレンド。



しかし、マーケティングが求められている。
というよりマーケティングじゃ足りない。


それが、スポーツ業界だと顕著なんじゃないかと。
集客を必要とするスポーツ興行の場合、
有名人を呼んだりキャンペーンをすることで一時的な集客を行うことは可能であるが、
それがリピーターにつながるということはなかなか難しい。

「良いプレーを見せればお客さんが来る!(はず)」とか、
「勝利が一番の宣伝だ!」とか

選手たちも人なのでプレーのパフォーマンスが落ちることもあるし、
もちろん勝つためにプレーをしていますがもちろん負けることもあります。
では、どうやって集客し、ファン化し、リピーターになってもらうのでしょうか?


で思ったのは、「UXの視点」が足りないのかもしれないということ。

どういうことかというと、
スポーツを見に行くときって、(招待券があるから仕方なく行く場合は例外かも)
当日の朝だったり、前日だったり、はたまたもっと前からワクワクしますよね。
当日は会場に行って、競技を見て、雰囲気を味わいます。
で、帰宅。

これって、「当日の会場」だけが楽しければ良いというわけではないですよね?

行くまでも、帰ってからも、その「スポーツ」や「出来事」のことを考えたり、振り返ったりしますよね?

それがあってこそ、その場を楽しめるものだと思います。

まさしく「UX」だったり「カスタマージャーニー」の世界!

あるパートにだけ注力しても、トータルの経験として満足の行く結果になっていなければ
「楽しかった」とはならないのではないでしょうか。

なので、サッカー/フットボールUXだったり、野球UXだったり、
バスケットボールUX、ホッケーUXなどなど
色々なスポーツUXの可能性があると思っています。

この考え方で行くと、スポーツUXに限らず、ライブUX、ミュージアムUXなど
様々な応用が考えられますよね。



ということで、今度の日曜日3月15日のコンサドーレ札幌ホーム開幕戦(Vファーレン長崎戦)をワクワクしながら過ごす1週間となっています。

2015年3月8日

[札幌UX#003] 2015年明治安田生命J2リーグ札幌開幕勝利記念 「コンサドーレ札幌UX」

2015年のJリーグが今週開幕しました。

J1は昨日3月7日、J2は本日3月8日、J3は来週3月15日の開幕です。

今年から「明治安田生命」リーグタイトルパートナーがつきました。

なので、正確にはそれぞれ
「明治安田生命Jリーグ」、「明治安田生命J2リーグ」、「明治安田生命J3リーグ」となります。
http://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/topics/J_LEAGUE/


で、我らのコンサドーレ札幌ですが、開幕戦はアウェイで栃木SCとの対戦。

見事2-1で勝利!!

スカパー!無料放送で見ていました。
http://soccer.skyperfectv.co.jp/match/kaimaku/?mkt=ls001&gclid=CjwKEAiAg_CnBRDc1N_wuoCiwyESJABpBuMXSlmwEawrLG6pqluniR0X6KAlhpHBhIBQrlI8T2rbERoCu2bw_wcB

2015開幕勝利記念に、昨シーズン終了時に作成した、
UX的観点で考えた、「なぜコンサドーレにわくわくするのか」をアップします。


Consadole ux from naoto

今年もわくわくするぞー。 

そうだ、「北海道コンサドーレ札幌」についてもいつか書こう。 

2015年3月7日

こんな仕事をしたい!【BookReview】『Think Simple アップルを生み出す熱狂的哲学 / ケン・シーガル』

Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学 

この本は、アップルとネクストの広告代理店のクリエイティブ・ディレクターが
スティーブ・ジョブズとジョブズがつくったアップルについてまとめたものです。

内容は、とにかく「シンプル」に徹底しているということ。
それはアップルの広告、iPhone、MacBookなどのアップル製品からも感じ取れること。
だからこそ、多くの人を魅了している。うん、ただ使ってるだけじゃないんですよね。
魅了されて選んで使ってる、愛用しているんだと思います。

その「シンプル」をジョブズはどう考えていて、どう具現化しているのかということが、広告代理店の視点で描かれています。
著者のケン・シーガルは本当にジョブズに信頼されていて、広告はもちろんそれ以外のことについても相談をされていたという関係性が生まれています。
「広告代理店」てなんなんだろうとも考えさせられる本です。
アメリカと日本、東京と札幌とでもその役割というのは違うんだろうとは思いますが。

で、この本の主旨が「広告」かというとそうではなく、 
経営ビジョンだったり、デザイン哲学だったりします。
書中にも、マーケティングの本でもあり、アイデアとプロセスについて書いているとあります。

そう、ひとつの考え方、「Think Simple」という思想についての本なんだと思います。
その思想をとっているのが、世界一のブランド力をもつアップルだということです。
そんなブランド力をもった企業の思想をなぜ取り入れないんだろう。
どうしたら自分の身に出来るんだろうと。
ジョブズは、企業ブランドを銀行の預金口座に例えていたそうです。
ヒット商品が出たり、キャンペーンが成功すれば預金が増える。
逆に使いにくい商品を出してしまえば預金が引き出される。
そして、預金が多ければ顧客は信頼してついてきてくれるが、残高が減ってくると見捨ててしまうと。

すごく納得です。

先日、報道されていたブランド・ファイナンス「世界最強ブランド」ランキングでは、レゴが首位に立ったというニュースもありましたが。レゴの思想も勉強したい。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2015/03/post-3573.php

本の中身は、全く難しくなく(クリエイティブディレクターだけに読みやすい、面白い文章構成になっているのかな?)、横に彼とジョブズがいるかのように読み進められます。

個人的には、「スティーブジョブズ」の公式伝記よりも読みやすく面白いんじゃないかと思います。伝記は立ち読みレベルでどうしても購入にいたらない、未だに。

で、いかに「Think Simple」をつくるかということで10の要素にまとめられてます。
このまま章立てにもなっています。

1.容赦なく伝える Think Brutal
2.少人数で取り組む Think Small
3.ミニマルに徹する Think Minimal
4.動かしつづける Think Motion
5.イメージを利用する Think Iconic
6.フレーズを決める Think Phrasal
7.カジュアルに話し合う Think Casual
8.人間を中心にする Think Human
9.不可能を疑う Think Skeptic
10.戦いを挑む Think War

ジョブズはよく無慈悲なまでに厳しいという話を聞きますが、この本を読んでみて感じるのはただ徹して厳しいのではなく、思想から外れたことに対して無慈悲だということ。
そして、自分をよく理解し、協力を求め、チームに感謝しながら仕事をしているということです。
身の回りにも、厳しい人というのはよくいますが、思想というよりも自分の思った通りに動いてくれずに感情的になる人が多いなぁと思います。
そんな人達ももうちょっとでジョブズになれるのかも。

ということで、この本を読んで、アップルのこと、ジョブズのことを勉強しようと思っていたのですが、どちらかというと考え方や働き方を勉強できたと感じます。

[OpenTheBox] [札幌UX#002] ANKERのすばらしい利用体験

ANKER Super-Slim Bluetooth Keyboard Cover についての投稿です。

今更ながら、iPad用のBluetoothキーボードが欲しくなり、探しました。
Airでもなく、いわゆる新しいiPadです。2012年発売なのでもう結構経つんですね。 
色々見ていたのですが、logicoolは高いし、他のメーカーは微妙そうだしと思っていました。

ここは気になっていたANKER製を購入することに決めました。

ANKERって?どんな会社かというと。

 『ANKER(アンカー)は2009年、米Google出身の数名の若者達によって創業されました。当社のミッションは、お客様の生活をより便利に、快適にする製品を、信頼できる品質・お求めやすい価格で提供させて頂くことです。』
http://jp.ianker.com/index.php

こういうの好きです。届く前からわくわくしますね。
モバイルバッテリーが人気商品ですね。

で届きました!
おぉ薄い!!


裏面


箱を止めてるシールにもロゴです。


中身。キーボードにUSBケーブル。


なにこれ?「Happy?」


ペラっと。おー、その感動をシェアしてね。
レビュー書いてみんなに教えてねってことね。やるねぇ。


裏面は「Not Happy?」
なるほど、こちらはサポートへの連絡方法が書いてあるんですね。これも憎い。




でマニュアルね。やっぱり英語だけかなと思っていたら、ちゃんと日本語になってます。簡潔でわかりやすいです。



さて接続。マニュアルの手順通りに。
だいたい、こういうBluetooth機器って一発じゃ繋がらないんだよなぁと思い込んでいるのがAndroidユーザー。
ところが、なんと一発でつながっちゃうんだもんな。


キー打ち込みのラグも無く、超快適です。
見た目もスマート!




これはすっかり、ANKERファンになっちゃうな!
しばらくはノートPCがそばにあっても、こっちを使っちゃいそう。
このブログもこのキーボードで書きました。


で、何が言いたいかというと、商品や企業のファンになってもらうためには
一連のユーザーエクスペリエンス(UX User Experience)を演出・デザイン出来てないとね、とこと。

・購入前
・商品が手に入る
・使い始める
・使い続ける

断片的ではなく、連続したフェーズで「満足感」や「うれしさ」を提供していかなければいけないですよね。
でも商品製造過程で部署が違ったりでなかなか共通認識では進めないのでとても難しいのも事実だと思います。
だからこそ、こういう素晴らしい商品には敬意を払いたくなります。

2015年3月2日

[札幌UX#001] SAPICAがサッとピッと通れない理由

前回、決意表明をしたので早速書きます。

なんか符号が欲しいなと思い、考えました。

今更「ユーザビリティ」とか「使いやすさ」だけでは片手落ちなので、やはり「User Experience」「ユーザーエクスペリエンス」が入ったものにします。

Sapporo User Experienceのイニシャルを取ろうかと思ったのですが、あまり良い意味にはならなそうなので却下。
User Experience Sapporoは「UX-Sapporo」と被るので、却下。

じゃあ「札幌 User Experience」で「札幌UX」にしようかと、だれも名乗ってなさそうですし。


さて、第1回目の対象は「SAPICA」です。

札幌市交通局(札幌市営地下鉄)で使えるICカード乗車券です。
私は地下鉄通勤なので毎日のように利用しています。

SAPICA『サッと取り出して、ピッと利用できるSapporo(さっぽろ)のICカード』から名付けれているのですが、なんだかスムーズじゃないなと感じることが多いです。特に混んでいる時に。

最初は札幌はJRのKitacaも導入が遅かったし、ICカードへの慣れの問題かなと思っていたのですが、どうやら違うとわかりました。

大きな理由は次の2つ。

1.対応改札機が揃っていない
2.タッチの仕方に問題がある

1は、一気に対応改札機を揃えられず、ICカード専用改札機があったり、磁気券共用改札機があったり、磁気券専用改札機が残っていたりと、改札直前になってSAPICAに対応していない改札に並んでたなんてことは今でもよくあります。
それにより、列の横入りが発生し、乱れるわけですよね。
この問題は、そのうち全改札機が対応するようになると思うので、時間が解決してくれそうです。

2は、タッチの仕方に問題があるなんて書くと、乗客に問題があるみたいですが、言わずもがな、そうさせているシステムが悪いのです。

そうさせている理由ですが、次のことが考えられます。

・フィードバックがない/遅い
・状態が見づらい


で、対話の原則に当てはめると、
「自己記述性」「学習への適合性」に問題があることがわかります。

そのために、どうなるかというと、
音またはディスプレイ表示のフィードバックがなかったり、遅いことで、ユーザーは『あれ?うまくタッチできたかな?』と思い、必要以上に長くタッチするようになってしまいます。

その結果、改札を通るのが遅れ、次に並んでいる人がタッチするタイミングが狂ってきます。
おそらく、次の人はやや身体が先に改札に入り、遅れてカードをタッチすることになり、改札機に弾かれる可能性が出てきます。

さらに、改札を通るのを遅くしているのが、ディスプレイが見づらいことです。これは共用改札機で見られるものです。
ディスプレイが見やすい角度で設置されていないことと、解像度が低いこと、字が小さいことなどが挙げられます。
その情報をよく確認しようとして、改札内に少しでも長く留まろうとしてしまいます。



これが混雑していない時であればそれほど問題はないのですが、次々に乗客が並んでいる時は問題になります。
ひとりが遅れると、次の人への影響が出て、その人の遅れがまた次の人に影響を与えるというように、負の連鎖が起きます。

これが、SAPICAがサッとピッと通れない理由です。

で、どうしたら良いか。

まずは、正しくタッチできていることをユーザーに早く伝えてあげることです。

伝える方法は音でもディスプレイでも良いと思います。

この方法であれば、ソフトウェアで対応できるのではないかと思います。
ディスプレイ角度といったハードウェアよりは対応しやすいのではと。
もちろん簡単ではないでしょう。



ただし、コンセプトの『サッと取り出して、ピッと利用できるSapporo(さっぽろ)のICカード』を
心地よく体験してもらいたいのであれば、改良すべきことです。

2015年3月1日

ユーザビリティを忘れないために

現在はマーケティングプランナーという職名をもらっていますが、
前職ではユーザビリティエンジニアでした。

ユーザビリティエンジニアを、ざっくりと説明すると、
製品やサービスの使いやすさや心地よさをデザインしたり、評価したりする職種です。
HCD-Net(人間中心設計推進機構)認定の人間中心設計専門家という資格保有者でもあります。
(参考)http://www.hcdnet.org/

今の仕事ではその機会が減ってしまっています。全く無いわけではないですが。

でもこの考え方というかセンスを忘れたくないし、染み付いているもので生活の中で「ユーザビリティ」を考えてしまうことも少なくありません。

しかし、ただ思っているだけでは意味が無いので、普段考えてることを体系建てて記していこうと思います。

その体系というと、
ユーザビリティを評価する = ユーザビリティテストというものになります。

そのうち、専門家が知見等から検討・評価するものは、
エキスパートレビューヒューリスティック評価なんて言います。

一方で、モニターの行動を観察し評価するものを、
ユーザーテストと呼びます。

ただし、その場合もユーザーが行ったことや発話したことそのままを評価結果とするのではなく、その意図や真意を読み取りインタビューする必要があります。
なので、ユーザーテストの前には厳密ではありませんがエキスパートレビューを必要とします。

実際にユーザーテストを行っていてよくあるのは、ほぼ想定通りで新しく発見できることはないのですが、ユーザーが「行った」または「言った」という事実を捉えるためにテストをしているみたいな感じです。

それでも、開発の大きなヒントになるような発見が必ず見つかります
そこがユーザーテストの魅力です。

このあたりは、マーケティングリサーチでいうところのグルインとは違うところだと思っています。
グルインは発話すべてがお客様の声で、ありがたい意見だと考える傾向があるような気がします。
(間違っていたらごめんなさい)

ちょっと思い出に浸ってしまいました。全職場のテストルームが近々撤収されるという知らせもあり振り返ってしまいました。

で、このブログで出来る「エキスパートレビュー」に話を戻します。
ただ、「使いづらい!」「使う立場を考えてるのか!」なんてことをつらつら書くつもりはなく、
「なぜ使いづらいと感じるのか」、「どうするとその思いを払拭できるのか」を示していきたいと思います。

どこかで、その対象となるものごとの開発や企画に携わる方の目に留まり、活かしていただけることがあれば幸いです。


評価の基準についてですが、「ニールセンのユーザビリティ10原則」や「シュナイダーマンの8つの黄金律」といったものもありますが、ここでは、
人間中心設計に基づき、ISO9241-10として規格化されている「対話の原則」を用いていこうと思います。この7項目です。

1. タスクへの適合性
2. 自己記述性
3. 可制御性
4. 利用者の期待への合致
5. 誤りに対しての許容度
6. 個別化への適合性
7. 学習への適合性


これが難しいんですよね。言い換えると次のような感じ。

1. ユーザーが使いたいときに使えるようになっているか
2. 今どういう状況なのかわかるか
3. ユーザーがしたいようにコントロールできるか
4. ユーザーが思ったとおりに動かせるか
5. 間違っても大丈夫か
6. 初めて触れる人でも使えるか
7. 使い方を覚えるのに大変じゃないか


この基準に基づいて、札幌、北海道の中で気づいたものごとについて書いていければいいかなと思っています。

前職の会社で運営されていた使いやすさ日記の札幌・北海道版のつもりでやっていきます。
あれは良い修行だったなぁと。