2015年1月18日

電通が考えるサービスデザイン! 【BookReview】『エクスペリエンス・ドリブン・マーケティング / 朝岡崇史』

エクスペリエンス・ドリブン・マーケティング

「エクスペリエンス Experience」「マーケティング Marketing」
この2語が入っているだけで、興味を持たずに入れなかった本。
そして帯には『「サービスデザイン」で、何が変わるか』
今、そしてこれからマストな「サービスデザイン」を語っている。
考えなければいけないエッセンスが大いに含まれていそう、と思い購入。

著者の朝岡崇史さんは、電通マーケティング・デザイン・センターのコンサルティング室長とのこと。
電通にこんなセンターがあるのね。

章立てはこのようになっている。

第1章 ツインリンク・ブランドモデル
第2章 ブランド刷新
第3章 カスタマージャーニーとサービスデザイン

前半の第1章と第2章は「ブランド」をいかにしていくかの話。
中でも印象に残っているのは、ブランド体験価値強化3つの方程式

ブランドに「ふところ」をつくる
顧客が参加できる「踊り場」を設ける
近い価値のコンテンツを結びつける

わかるようなわからないような。
ギリギリでブランドを成り立たせるのではなく、
余裕をもってブランドを確率することで「ふところ」を深くし、
顧客が参加できる余地を生み、
単独で存在するのではなく親和性の高いコンテンツを見つけ、
常に変化、活性化をしていくこと
といったところだろうか。

そして、第3章。
冒頭が戦艦大和の話でやや退いてしまったが、中身はわかりやすかった。
というか、前知識を持っているので理解できたのかもしれない。

ちゃんと「カスタマーエクスペリエンス」と「ユーザーエクスペリエンス(UX)」の関係にも言及し、
(ここではほぼ同質だけど顧客のブランド体験についてなのでカスタマーエクスペリエンスで統一するね、とのこと)
User Experienceの出自についても語られている。

「カスタマージャーニーマップ」については、ワークショップで行うような
現状の観察から問題点を発見し、改善策を考えるというシンプルな分析を紹介してはいなく、
あまり考えたことがない方法で紹介されている。
考えたことがないとは言うが、とても納得行くものになっている。

それは、まず現状のカスタマージャーニーを洗い出し、
接点(インタフェースとアプローチ)に注目する。
ここでいう「インタフェース」とは機械であったり、Webサイトであったり、空間であったり、ヒトであることも多いとある。
「アプローチ」は明示はされていないが「インタフェース」がいかに提供されているか振る舞われているかということかと思う。

そして現状のカスタマージャーニーに対して、ブランドビジョンの面から考えた際の
理想的なカスタマージャーニーを想定するというものである。

そういえば「課題を発見する」というフェーズはないような。
その代わりに、対象となるサービスの評価についてはこのように述べられている。

『顧客の当初の想定よりも価値(提供価値+共創価値)が上回れば、
相対的な評価として「満足」という感情が残り、
逆の場合は「不満足」という苦い後味になる。』と。
また理想的なカスタマージャーニーをデザインするには次のようなステップが必要と。

1.カスタマージャーニーの現在型を可視化するクエスト
2.カスタマージャーニーの理想型をつくるアイディエーション
3.カスタマージャーニーのマッピング
4.ブランドの実体化を行うアクチュアライゼーション

なんだかカタカナばかりで小難しい。
この本がちょっと読みづらいのは、小難しいんですよね。
専門用語が多いのと、電通のツール名が出てきたりするので、完全に一般的な言葉をつかっているわけではないので。

結局のところ、こういうことらしい。

1.探究と洞察
2.拡散と収束
3.マップ作成
3.実体化

基本的にはHCDプロセス(人間中心設計プロセス)と重なる部分もあるようだ。
このプロセスをオペレーションできるようになることが優位性を生む気がする。

また第1次産業などもサービスデザインの観点で考えれば、
すべてサービス産業になるというのが目からうろこであった。
たしかに第1次産業のまま改善していこうとしても農業は農業だし、
水産は水産からは脱することができない。
サービス産業にレベルアップさせてあげることが本当のデザインになるのだろう。

大事なのは、このような「カスタマージャーニー」であったり「サービスデザイン」を
企業内で実践し、役立てていき、価値を認めてもらうことだと思う。
それが日本、北海道をレベルアップさせる道に通じるのだろう。

(1/18追記)
タイムスクープハンターがエスノグラフィーだという視点が最も印象的でした(笑)